ISDN (Integrated Services Digital Network、総合デジタル通信網) とは、デジタル方式で音声とデータを統合的に扱う電話回線サービスです。日本では NTT の INS ネット 64 (基本インターフェース、2B+D の 2 チャネル) と INS ネット 1500 (一次群インターフェース、23B+D の 23 チャネル) として提供されてきました。1988 年のサービス開始当時は「デジタル時代の電話」として注目を集めました。
PSTN (アナログ回線) との違いは、ISDN がデジタル信号で通信する点です。INS ネット 64 は 1 回線で 2 チャネル (各 64kbps) の同時通話が可能で、FAX と電話を同時に利用できるメリットがありました。データ通信にも対応しており、インターネット接続 (64kbps、2 チャネル束ねて 128kbps) やテレビ電話にも使われました。INS ネット 1500 は 23 チャネルを束ねた大容量サービスで、企業の PBX と接続して多数の同時通話を処理するために利用されました。
ISDN の衰退は、ブロードバンドの普及と軌を一にしています。2000 年代に ADSL (最大 50Mbps) や光ファイバー (最大 1Gbps) が登場すると、128kbps の ISDN データ通信は速度面で太刀打ちできなくなりました。音声通話も ひかり電話や VoIP サービスに置き換わり、ISDN の契約数は急減しました。
NTT は PSTN の IP 網移行に伴い、ISDN のデータ通信 (ディジタル通信モード) を 2024 年に終了しました。音声通話は IP 網上で継続利用可能ですが、EDI (電子データ交換) や POS レジの決済通信など ISDN データ通信に依存していた企業は、インターネット VPN、専用線、モバイル回線への移行が必要です。特に流通業界では ISDN ベースの EDI が広く使われていたため、移行の影響は大きく、総務省と経済産業省が移行支援策を講じました。電話番号の歴史で通信技術の変遷を振り返れます。