アナログ回線とは、音声をそのまま連続的な電気信号 (アナログ信号) に変換して伝送する電話回線です。1876 年のグラハム・ベルによる電話発明以来、100 年以上にわたり電話通信の基盤として世界中で使われてきました。デジタル回線 (ISDN) や VoIP と対比される概念です。
日本では NTT のメタル回線 (銅線) がアナログ回線の代表です。1 回線で 1 通話のみ可能で、ISDN (2 通話同時) やひかり電話 (複数通話同時) と比べると機能は限定的です。通話品質は 300Hz〜3,400Hz の音声帯域に制限されるため、高音域がカットされた独特の「電話の声」になります。VoLTE の HD Voice (50〜7,000Hz) と比較すると、アナログ回線の音声帯域は約半分です。
アナログ回線の最大の利点は、停電時にも通話できる点です。NTT の局舎から銅線を通じて電話機に電力が供給される (局給電、約 48V の直流電圧) ため、電源コンセントに接続していない電話機でも発着信が可能です。災害時のライフラインとして、この特性は今でも重要視されています。ただし、コードレス電話やFAX 付き電話など、AC アダプターが必要な機種は停電時に使えません。停電対策として、局給電で動作するシンプルな電話機を 1 台備えておくことが推奨されます。
NTT は 2024 年 1 月に固定電話網を PSTN から IP 網へ移行しました。交換機の老朽化と維持コストの増大が主な理由です。利用者側の電話機や電話番号はそのまま使えるよう配慮されており、通話料金も全国一律 (3 分 9.35 円) に統一されました。ただし、IP 網移行後は局給電による停電時の通話が保証されなくなる可能性があり、携帯電話をバックアップ手段として確保しておくことが重要です。ひかり電話への移行が進む中、アナログ回線は徐々に役割を終えつつあります。