中継回線 (トランク回線) とは、電話交換機間を接続する大容量の通信回線です。市内通話、市外通話、国際通話のそれぞれで、交換機間のデータ伝送を担います。個々の加入者回線が「毛細血管」だとすれば、中継回線は電話網の「大動脈」にあたる存在です。
中継回線の容量は、同時に処理できる通話数を直接決定します。年末年始やイベント時に「電話が混み合っています」というメッセージが流れるのは、中継回線の容量を超える通話が集中した場合です。通信事業者は過去の通話データから時間帯別のピーク需要を予測し、中継回線の容量を設計しますが、災害時のような想定外の集中には対応しきれません。東日本大震災の際には、被災地への通話が通常の 50〜60 倍に達し、最大 90% の発信規制がかけられました。
中継回線の技術は時代とともに進化してきました。初期の電話網ではアナログの銅線ケーブルが使われ、1 本の回線で 1 通話しか伝送できませんでした。1970 年代以降、デジタル多重化技術 (TDM) の導入により、1 本の回線で数十〜数百の通話を同時に伝送できるようになりました。現在は光ファイバーが主流で、1 本の光ファイバーで数万通話を同時に処理できます。光ファイバーの普及により通話品質の向上と通信コストの低減が実現し、市外通話料金の大幅な値下げにもつながりました。
PSTN (公衆交換電話網) から IP 網への移行が進む中、中継回線もパケットベースの伝送に転換されつつあります。NTT は 2024 年に固定電話網を IP 網に完全移行しており、従来の回線交換方式 (通話ごとに専用回線を確保する方式) から、パケット交換方式 (データを小さなパケットに分割して共有回線で伝送する方式) へと変わっています。企業の PBX と通信事業者の交換機を結ぶ中継回線 (トランク) は、SIP トランクとして IP 化されるケースが増えています。電話番号の構造で電話網の全体像を把握できます。