なぜ高齢者が狙われるのか
警察庁の統計によると、特殊詐欺 (オレオレ詐欺や還付金詐欺など) の被害者の約 8 割は 65 歳以上の高齢者です。狙われる理由はいくつかあります。
- 固定電話を日常的に使っている (固定電話は番号が公開されやすい)
- 日中に自宅にいることが多い
- 「家族に迷惑をかけたくない」という心理を悪用される
- スマホやインターネットに不慣れで、情報を確認しにくい
- 一人暮らしの場合、相談相手がすぐそばにいない
でも、家族が少し気を配るだけで、被害を防げるケースはたくさんあります。大切なのは、おじいちゃん・おばあちゃんを責めるのではなく、一緒に対策を考えることです。
今すぐできる対策
1. 家族の合言葉を決める
オレオレ詐欺は「俺だけど、携帯の番号が変わった」と電話してきます。これを防ぐために、家族だけが知っている合言葉を決めておきましょう。
例: 「うちの猫の名前は?」「去年の旅行はどこに行った?」「お母さんの得意料理は?」
電話で家族を名乗る人が来たら、合言葉を聞いて本人確認します。合言葉は SNS に書かないこと、定期的に変更すること、家族全員で共有することが大切です。お正月やお盆など、家族が集まるタイミングで合言葉を確認・更新する習慣をつけると忘れにくくなります。
留守番電話を常にオンにする">2. 留守番電話を常にオンにする
固定電話の留守番電話を常にオンにして、知らない番号からの電話には直接出ないようにしましょう。詐欺犯は留守電にメッセージを残さないことがほとんどです。警視庁の調査では、留守番電話が応答した場合に犯人が通話を続ける割合は 5% 未満とされています。つまり、留守電をオンにするだけで 95% 以上の詐欺電話を防げるのです。
「留守電にしたら大事な電話を逃すのでは?」と心配するかもしれませんが、本当に用事がある人はメッセージを残してくれます。家族や親しい人の番号は電話帳に登録して、登録済みの番号からの着信には通常どおり出る設定にすれば安心です。
3. ナンバーディスプレイを導入する
発信者の番号が表示されるナンバーディスプレイを導入すれば、知らない番号からの電話を事前に確認できます。NTT の場合、月額 440 円で利用できます。番号が表示されるだけで「知らない番号だから出ない」という判断ができるようになります。
4. 防犯機能付き電話機に買い替える
最近の電話機には、迷惑電話を自動で警告する機能が付いています。「この電話は防犯のために録音されます」という自動メッセージが流れるだけで、詐欺犯の多くは電話を切ります。警察庁の調査では、この機能により約 7 割の詐欺電話が通話前に切断されるという効果が確認されています。詳しくは防犯機能付き電話機の選び方をご覧ください。自治体によっては高齢者世帯に無償で貸し出しているところもあるので、お住まいの市区町村に問い合わせてみましょう。
5. ATM の利用限度額を下げる
おじいちゃん・おばあちゃんの銀行口座の ATM 利用限度額を引き下げておくと、万が一詐欺に遭っても被害額を抑えられます。1 日の引き出し・振込限度額を 10〜20 万円に設定しておくのがおすすめです。銀行の窓口で手続きできます。
中高生にもできること
定期的に電話する
おじいちゃん・おばあちゃんに定期的に電話するだけで、詐欺対策になります。「最近変な電話来てない?」と聞くだけで、注意喚起になります。週に 1 回でも電話すれば、「この前孫から電話があったばかりだから、この電話は怪しい」と気づくきっかけになります。
詐欺の手口を教える
「こういう電話が来たら詐欺だよ」と具体的な手口を教えてあげましょう。
- 「携帯の番号が変わった」→ 詐欺の定番フレーズ。本当に番号が変わったなら、元の番号からも連絡が来るはず
- 「ATM で還付金の手続きができる」→ ATM で還付金は受け取れない。これは 100% 詐欺
- 「今日中にお金を振り込んで」→ 正規の機関が電話で即日振込を求めることはない
- 「他の人には言わないで」→ 口止めするのは詐欺の証拠。本当の緊急事態なら家族に相談して問題ない
- 「キャッシュカードを預かります」→ 警察がカードを預かることは絶対にない
一度に全部伝えるのではなく、電話するたびに 1 つずつ伝えると覚えてもらいやすいです。
スマホの設定を手伝う
おじいちゃん・おばあちゃんがスマホを使っている場合は、着信拒否の設定や迷惑電話対策アプリのインストールを手伝ってあげましょう。iPhone なら「不明な発信者を消音」をオンにする、Android なら Google 電話アプリの「迷惑電話のフィルタリング」を有効にするだけでも効果があります。
冷蔵庫にチェックリストを貼る
「電話でお金の話が出たら → まず電話を切る → 家族に電話する → #9110 に相談する」というシンプルなチェックリストを紙に書いて、電話の近くや冷蔵庫に貼っておくのも効果的です。パニックになったときでも、目に入る場所にあれば思い出せます。
もし怪しい電話があったと聞いたら
- まず落ち着いて話を聞く (「なんで出たの!」と責めない。責めると次から相談してくれなくなる)
- お金を振り込んでいないか確認する
- 個人情報 (口座番号、暗証番号など) を伝えていないか確認する
- キャッシュカードを誰かに渡していないか確認する
- 被害がある場合は警察 (110) に通報する
- 被害がなくても警察相談 (#9110) に報告する
- 「教えてくれてありがとう」と伝える (次も相談してもらうために)
お金を振り込んでしまった場合は、すぐに振込先の銀行に連絡して口座凍結を依頼してください。早ければ早いほど、お金が戻ってくる可能性が高まります。振り込め詐欺救済法に基づき、凍結された口座の残高から被害金の返還を受けられる場合があります。
地域の見守りネットワークを活用する
家族だけで高齢者を守るのは限界があります。地域の見守りネットワークも活用しましょう。
- 民生委員: 地域の高齢者の見守りを行っている。不審な電話の情報共有もしてくれる
- 地域包括支援センター: 高齢者の生活全般の相談窓口。詐欺被害の相談も受け付けている
- 警察の防犯メール: 各都道府県警察が配信する防犯情報メール。地域で発生した詐欺の手口をリアルタイムで知らせてくれる
- 自治会・町内会: 回覧板や掲示板で詐欺の注意喚起を行っている地域もある
まとめ
おじいちゃん・おばあちゃんを詐欺から守るのに、特別な知識は必要ありません。合言葉を決める、留守電をオンにする、定期的に電話する。この 3 つだけで、被害のリスクを大きく減らせます。そして何より大切なのは、「怪しい電話があったら教えてね」と伝えて、相談しやすい関係を作っておくことです。