クラウド PBX とは、従来オフィスに設置していた PBX (構内交換機) の機能をクラウド上で提供するサービスです。インターネット経由で利用するため、オフィス、自宅、外出先など場所を問わず内線通話や外線発着信が可能になります。コロナ禍以降のリモートワーク普及を追い風に、導入企業が急増しています。
オンプレミス型 PBX との最大の違いは、ハードウェアの所有形態です。オンプレミス型は専用機器を購入・設置するため初期投資が数十万〜数百万円かかり、保守・更新も自社負担です。クラウド PBX は月額課金制 (1 ユーザーあたり月額 1,000〜3,000 円程度) で、機器の購入・保守が不要です。拠点の追加・変更もブラウザ上の管理画面から即座に行え、社員数の増減にも柔軟に対応できます。
クラウド PBX の弱点はインターネット接続への依存です。回線障害やプロバイダの障害が発生すると、すべての通話が不通になります。オンプレミス型であれば、インターネットが落ちても電話回線が生きていれば通話可能です。この点を補うため、モバイル回線をバックアップとして併用する、複数の ISP と契約するなどの冗長化が推奨されます。通話品質も帯域幅とレイテンシに左右されるため、QoS 設定で音声パケットを優先する設計が重要です。
機能面では、VoIP 技術を基盤としており、IVR (自動音声応答)、CTI (コンピュータ電話統合)、通話録音、通話分析などの高度な機能がサービスに含まれていることが多く、オンプレミス型では追加投資が必要だった機能を標準で利用できます。スマートフォンに専用アプリをインストールすれば、個人の携帯電話を会社の内線電話として使えるため、社用携帯の支給コストも削減できます。仮想電話番号のビジネス活用と組み合わせると、より柔軟な電話環境を構築できます。