ADSL (Asymmetric Digital Subscriber Line / 非対称デジタル加入者線) は、既存の電話回線 (銅線) を使ってインターネットに高速接続する技術です。「非対称」とは、下り (ダウンロード) と上り (アップロード) の速度が異なることを意味し、下りが最大 50Mbps、上りが最大 5Mbps 程度でした。
日本では 2000 年にサービスが開始され、Yahoo! BB が月額 2,280 円という破格の料金で参入したことで爆発的に普及しました。それまでのダイヤルアップ接続 (56kbps) と比べて数百倍の速度を実現し、「常時接続」という概念を一般家庭にもたらしました。ADSL の普及は日本のブロードバンド化を一気に加速させました。
ADSL の弱点は、NTT の電話局からの距離が遠いほど速度が低下する点です。電話局から 4km 以上離れると実用的な速度が出ないケースもありました。また、電話回線と同じ銅線を使うため、電磁波の干渉を受けやすく、通信品質が不安定になることもありました。
光回線の普及に伴い、ADSL の契約数は減少の一途をたどりました。NTT 東日本は 2023 年 1 月、NTT 西日本は 2024 年 3 月にフレッツ ADSL のサービスを終了しました。約 24 年にわたるサービスの歴史に幕を閉じましたが、日本のインターネット普及に果たした役割は極めて大きいものでした。電話機の進化の歴史で通信技術の変遷を振り返ることができます。