ひかり電話とは
ひかり電話は、光ファイバー回線を利用した IP 電話サービスの総称です。NTT 東日本・西日本が提供する「ひかり電話」が最も普及しており、KDDI の「auひかり電話サービス」やソフトバンクの「ホワイト光電話」も同様のサービスです。従来のアナログ回線 (メタル回線) と異なり、音声データをデジタル化して光ファイバーで伝送するため、通話品質が高く、月額料金も安価です。IP 電話の基礎知識もあわせてご確認ください。
NTT は 2024 年 1 月にアナログ回線の固定電話網 (PSTN) を IP 網へ移行する大規模な切り替えを実施しました。この移行により、従来のアナログ回線でも裏側では IP 技術が使われるようになりましたが、ひかり電話に切り替えることで料金面のメリットをさらに享受できます。固定電話を継続利用する予定がある方は、このタイミングでひかり電話への移行を検討する価値があります。
ひかり電話のメリット
月額料金の大幅削減
ひかり電話の最大のメリットは月額料金の安さです。NTT のアナログ回線の基本料金は住宅用で月額 1,870 円 (税込) ですが、ひかり電話の基本プランは月額 550 円 (税込) です。年間で約 15,840 円の節約になります。ただし、ひかり電話の利用にはフレッツ光などの光回線契約が前提となるため、インターネット回線の料金も含めた総額で比較する必要があります。
- 基本料金 - アナログ回線 1,870 円/月 → ひかり電話 550 円/月 (差額 1,320 円/月)
- 通話料 (固定電話宛) - アナログ回線は距離に応じて 8.8〜88 円/3 分 → ひかり電話は全国一律 8.8 円/3 分
- 通話料 (携帯電話宛) - アナログ回線 17.6 円/60 秒 → ひかり電話 17.6 円/60 秒 (同等)
特に遠距離通話が多い方にとっては、通話料の全国一律化が大きなメリットです。アナログ回線では東京から大阪への通話が 88 円/3 分かかりますが、ひかり電話なら 8.8 円/3 分と 10 分の 1 になります。
高音質な通話
ひかり電話はデジタル伝送のため、アナログ回線に比べてノイズが少なく、クリアな音質で通話できます。VoIP 技術の進歩により、従来の IP 電話で課題だった遅延やパケットロスも大幅に改善されています。ただし、光回線の帯域が逼迫している場合や、ルーターの性能が低い場合は音質が低下する可能性があります。
豊富なオプションサービス
ひかり電話では、ナンバーディスプレイ、ナンバーリクエスト、迷惑電話おことわりサービスなどのオプションが、アナログ回線よりも安価に利用できます。固定電話の迷惑電話対策設定で紹介したサービスも、ひかり電話ならより低コストで導入可能です。
ひかり電話のデメリットと注意点
停電時に使用できない
ひかり電話の最大のデメリットは、停電時に使用できない点です。アナログ回線は電話局から電力が供給されるため停電時でも通話可能ですが、ひかり電話は自宅のルーター (ONU) に電力が必要なため、停電すると通話できなくなります。災害時の連絡手段として固定電話を重視する場合は、UPS (無停電電源装置) の導入や携帯電話のバックアップを検討してください。家庭用 UPSを設置すれば、停電時でも一定時間は通話を維持できます。
光回線の契約が必要
ひかり電話を利用するには、フレッツ光や光コラボレーション (ドコモ光、ソフトバンク光など) の契約が必要です。既にインターネット用に光回線を契約している場合は追加費用は最小限ですが、光回線未導入の場合は回線工事費と月額料金が新たに発生します。電話のみの利用であれば、ソフトバンクの「おうちのでんわ」(LTE 回線利用、月額 1,078 円) も選択肢に入ります。
一部の番号に発信できない場合がある
ひかり電話から一部の特殊番号 (ナビダイヤルの一部、一部のフリーダイヤルなど) に発信できない場合があります。ただし、緊急通報番号 (110 番、119 番) は問題なく利用できます。フリーダイヤルとナビダイヤルの違いも参考にしてください。
電話番号の引き継ぎ
番号ポータビリティの条件
アナログ回線からひかり電話に移行する際、現在使用している電話番号をそのまま引き継げるかどうかは、番号の種類と移行先のサービスによって異なります。番号ポータビリティの仕組みを理解しておくと、移行計画を立てやすくなります。
- NTT 加入電話の番号 - NTT のひかり電話への移行であれば、同一の NTT 収容局エリア内に限り番号の引き継ぎが可能です
- NTT 以外の事業者の番号 - KDDI やソフトバンクで取得した番号は、NTT のひかり電話には引き継げない場合があります
- 引っ越しを伴う場合 - 同一市区町村内の引っ越しであれば番号を引き継げる可能性がありますが、市外局番が変わるエリアへの移転では番号が変わります
番号の引き継ぎ可否は、NTT の窓口 (116 番) または各事業者のカスタマーサポートに事前に確認してください。番号が変わる場合は、取引先や知人への通知、各種サービスの登録番号変更が必要になります。
番号を休止して移行する方法
NTT の加入電話の番号を「休止」扱いにしてひかり電話に移行する方法もあります。休止中は月額料金が発生せず、最長 10 年間番号を保持できます。将来アナログ回線に戻す可能性がある場合は、解約ではなく休止を選択してください。ただし、ひかり電話で同じ番号を使用している間は、休止中の番号は利用できません。
移行の手順
NTT ひかり電話への移行手順
アナログ回線から NTT のひかり電話に移行する一般的な手順は以下のとおりです。
- Step 1: 光回線の確認 - フレッツ光または光コラボレーションの契約があるか確認。未契約の場合は光回線の申し込みから開始
- Step 2: ひかり電話の申し込み - NTT の公式サイト、電話 (0120-116-116)、または NTT の窓口で申し込み
- Step 3: 番号引き継ぎの確認 - 現在の電話番号を引き継げるか確認。引き継ぎ不可の場合は新番号の割り当て
- Step 4: 工事日の調整 - NTT から工事日の連絡があり、日程を調整。工事は通常 1〜2 週間後
- Step 5: 工事の実施 - 宅内工事 (ルーターの設置・設定) と局内工事が行われる。宅内工事は約 1 時間
- Step 6: 電話機の接続 - ルーター (ONU) の電話ポートに電話機を接続。既存の電話機がそのまま使用可能
- Step 7: 動作確認 - 発信・着信のテストを行い、正常に通話できることを確認
工事費は新規の場合 1,100〜4,950 円 (税込) です。既にフレッツ光を利用中の場合は、局内工事のみで完了するため費用を抑えられます。
移行前のチェックリスト
- 現在の電話番号を引き継げるか NTT に確認したか
- 光回線の契約状況を確認したか
- 停電時の代替連絡手段 (携帯電話など) を確保しているか
- FAX を使用している場合、ひかり電話で FAX が利用可能か確認したか
- セキュリティシステムや緊急通報装置が電話回線を使用していないか確認したか
- ナンバーディスプレイなどのオプションサービスの移行手続きを確認したか
特に注意が必要なのは、ホームセキュリティや緊急通報装置です。これらのサービスがアナログ回線を前提としている場合、ひかり電話への移行で正常に動作しなくなる可能性があります。事前にセキュリティ会社に確認してください。ひかり電話のガイドブックで移行の全体像を把握しておくと安心です。
まとめ
ひかり電話への移行は、月額料金の削減と通話品質の向上を同時に実現できる合理的な選択です。特に遠距離通話が多い方や、光回線を既に利用している方にとってはメリットが大きいでしょう。一方で、停電時に使用できないデメリットや、番号引き継ぎの条件には注意が必要です。移行前にチェックリストを確認し、不明点は NTT のカスタマーサポートに問い合わせてから手続きを進めてください。