SNS から電話に切り替える詐欺が増えている
SNS で関係を構築し、信頼を獲得してから電話勧誘に切り替える詐欺手口が急増しています。警察庁の「特殊詐欺認知・検挙状況」によると、2025 年の特殊詐欺被害のうち SNS が起点となった事例が全体の約 4 割に達し、前年比で 1.7 倍に増加しました。電話のみで勧誘する従来型の詐欺と異なり、SNS で 1〜3 か月かけて信頼関係を作るため、被害者の警戒心が下がりやすく被害額も高額化する傾向にあります。SNS のセキュリティを学ぶには SNS のセキュリティ書籍 も参考になります。
SNS 連携型詐欺の特徴は、(1) 接点獲得は SNS、(2) 信頼関係構築は DM・LINE、(3) クロージング (契約・送金) は電話、という役割分担です。電話に切り替えることで、被害者を心理的にコミットさせ、SNS 上に証拠が残らないようにする狙いがあります。投資詐欺の電話手口と組み合わさることが多く、複合的な詐欺の入口として SNS が使われている実態があります。
4 つの主要パターン
1. マッチングアプリ → LINE → 電話の恋愛投資詐欺
マッチングアプリで知り合った相手が「結婚を前提に」と関係を進める途中で、「2 人の将来のために投資を始めよう」と暗号資産取引所への送金を促します。途中まで利益が出る画面を見せられ、追加投資を重ねた段階で出金できなくなり連絡が途絶えるパターンです。投資詐欺の手口でも触れたとおり、出金時に「税金を先払いしないと出せない」と追加要求するのが典型です。
2. Instagram → DM → 電話の副業詐欺
Instagram の副業系インフルエンサーをフォローしたユーザーに DM で「無料コンサル枠が空きました」と接近し、電話に誘導して高額な情報商材や FX 自動売買ツールを契約させます。副業詐欺の電話勧誘と組み合わさることが多く、契約後の解約交渉が極めて困難です。
3. X (Twitter) → DM → 電話の暗号資産詐欺
X 上で「無料で配布します」「先着 100 名にエアドロップ」と称してフォロワーを集め、応募者に「本人確認のため電話したい」と連絡を取り、口座情報やシードフレーズを引き出す詐欺です。実在のプロジェクトを名乗ったり、有名人のアカウントを偽装したりする悪質な手口も増えています。
4. LINE オープンチャット → 個別電話の集団投資詐欺
「億り人サロン」「○○投資コミュニティ」と称する LINE オープンチャットに参加した後、運営者から個別に電話があり「VIP プラン」「特別講師の指導」を有料で提供すると勧誘されるパターンです。サロン内でサクラが「100 万円儲かった」「人生変わった」と書き込み、新規参加者を煽る構造になっています。
SNS 連携型詐欺を見抜く 8 つのサイン
- SNS から DM・LINE への移行を急ぐ: 出会って数日でプラットフォーム外の連絡手段を要求する相手は警戒
- 会ったことがないのに金銭の話: オンライン関係のみで投資・送金・契約を持ちかけてくる場合は詐欺の可能性が極めて高い
- 電話への移行を強く促す: 「文字だと伝わらないので電話で話したい」と頻繁に求めてくる場合は要注意
- 急に親密度が高まる: 数日で「運命を感じる」「あなたしかいない」と感情的な絆を作ろうとする
- プロフィール写真が他サイトで使われている: Google 画像検索で確認すると、無関係な海外モデル等の写真であることが多い
- 未公開情報・限定情報を強調: 「あなただけに教える」「公開前の情報」とエクスクルーシブ感を演出する
- 緊急性を演出する: 「今夜まで」「期限が迫っている」と判断時間を奪う
- 家族や友人への相談を嫌がる: 「他人には言わないで」「2 人の秘密に」と外部との接点を遮断する
SNS 連携型詐欺への防御策
SNS のプライバシー設定を強化する
Instagram・X・LINE のアカウントを非公開設定にし、知らない相手からの DM を受け付けない設定に変更します。スマホのプライバシー設定と合わせて、電話番号の連絡先同期を無効化することで SNS 経由で電話番号が知られるリスクを下げられます。
電話番号を SNS に登録しない
多くの SNS で電話番号認証が推奨されますが、認証後は「電話番号で友達を見つける」機能をオフにします。LINE では「ID 検索を許可」「電話番号でユーザーを検索」をいずれもオフにしてください。これだけで、電話番号経由で見知らぬ相手から DM が来る経路を遮断できます。
会ったことがない相手とは金銭の話をしない
これが最も重要な原則です。SNS で知り合っただけの相手から、投資・副業・送金・契約に関する話が出た時点で、その関係を疑ってください。ソーシャルエンジニアリングの典型例であり、感情に訴えて判断力を鈍らせるのが詐欺師の常套手段です。
家族や信頼できる第三者に相談する
SNS 上の関係性ほど第三者の目で見ると違和感が浮かび上がりやすいものです。「家族に相談したらやめろと言われた」と気付いて被害を回避できた事例は数多く報告されています。高齢者を電話詐欺から守るのと同様、家族間で SNS 上のやりとりを共有する習慣を作ることが防御につながります。
すでに被害に遭った場合の対応
SNS 経由で送金してしまった場合、暗号資産は追跡が極めて困難です。法定通貨での銀行振込であれば、振込後すぐに銀行に連絡することで口座凍結が間に合う可能性があります。被害発覚から 24 時間以内に以下を行ってください。
- 送金先銀行および自分の取引銀行に連絡し、振込め詐欺救済法に基づく口座凍結を依頼する
- 警察 (#9110 または最寄り警察署) に被害届を提出する
- 使用した SNS プラットフォームに対し、相手アカウントの通報・違反報告を行う
- 消費生活センター (188) に相談し、類似被害事例の情報を共有する
- 暗号資産の場合は、取引所のサポートに不正送金を報告し、トランザクションハッシュを記録する
SNS のスクリーンショット、DM の履歴、相手のアカウント情報、送金記録は全てバックアップしておきましょう。証拠が消去される前に保全することで、後の捜査や民事訴訟に役立ちます。スマホのバックアップ環境を整えるなら 外付け SSD の活用も検討してください。