緊急地震速報は、気象庁が地震の初期微動 (P 波) を検知した段階で、主要動 (S 波) が届く前に警報を発信するシステムです。P 波は S 波より速く伝わるため、震源から離れた地域では数秒〜数十秒の猶予時間が得られます。この数秒間で机の下に隠れる、火を消す、ドアを開けるなどの行動が取れます。
スマートフォンへの通知はエリアメール (緊急速報メール) で行われます。対象エリア内のすべての端末に一斉配信され、マナーモードやサイレントモード中でも強制的に警報音が鳴り、画面にメッセージが表示されます。この警報音は「ティロンティロン」という独特の音で、聞いただけで緊急事態だと認識できるよう設計されています。
緊急地震速報には「警報」と「予報」の 2 種類があります。一般向けに流れるのは「警報」で、2 か所以上の地震計で地震波をとらえ、最大震度 5 弱以上または長周期地震動階級 3 以上が予想された場合に発表されます。長周期地震動階級が発表基準に加わったのは 2023 年 2 月 1 日です。2011 年の東北地方太平洋沖地震では大阪市の震度は 3 でしたが、高層ビルではエレベーターの停止による閉じ込めや内装材の破損が起きており、こうしたゆっくりした揺れも警報の対象になりました。なお警報では、具体的な予測震度や揺れが届くまでの秒数は発表されず「強い揺れ」という表現にとどまります。予測に誤差が伴うためで、秒数を確かめてから動く情報ではないと考えてください。もう一方の「予報」は、地震動の予報業務について気象庁長官の許可を受けた事業者を通じて届く情報で、より小さな地震でも発信され、受信地点の予測震度や主要動の到達予想時刻まで扱えます。鉄道の自動停止やエレベーターの制御といった機器制御に使われているのはこちらです。
注意点として、解析と伝達に数秒かかるため、内陸の浅い場所で地震が起きた場合など、震源に近い地域では強い揺れの到達に速報が原理的に間に合いません。また落雷などの揺れを地震と誤認して発信されることがあり、その場合は数秒から十数秒ほどでキャンセル報 (取り消し) が流れます。逆に、震度 5 弱と予想した地域が実際には震度 3 以下だったときは取り消されないため、空振りに感じる場面もあります。限られた数秒を生かせるかどうかは、速報を見聞きしたときにどう動くかを家庭や職場で先に決めてあるかどうかで変わります。災害時の電話ガイドも参考にしてください。