GPS (Global Positioning System / 全地球測位システム) は、アメリカが運用する人工衛星を使って地上の端末の位置を特定するシステムです。約 30 基の衛星から発信される信号を受信し、4 基以上の衛星との距離を計算することで、緯度・経度・高度を数メートルの精度で測定できます。屋内や高い建物に囲まれた場所では衛星の電波が届きにくく、精度が落ちたり測位そのものに時間がかかったりします。
電話との関連で最も重要なのは、緊急通報時の位置情報通知です。110 番 (警察)・118 番 (海上保安庁)・119 番 (消防) へ携帯電話から発信すると、利用者が特別な操作をしなくても、位置情報が電話番号とともに通報を受け付ける側へ送信されます。ここで送られるのは常に GPS の測位結果とは限りません。GPS による位置情報通知に対応した端末で GPS が使える状況であれば GPS 測位による位置情報が、それ以外の場合は基地局の場所などから算出された位置情報が送られる仕組みです。この位置情報等通知機能は 2007 年 4 月から電気通信事業者に義務づけられています。
ただし総務省は、GPS の受信状況や電波状況によっては正確な位置を通知できない場合があるとして、緊急通報の際は口頭でも現在地や目印を伝えるよう案内しています。位置が自動で伝わるからといって、自分で場所を説明する準備を省いてよいわけではありません。
スマートフォンの紛失・盗難時にも GPS は役に立ちます。iPhone の「探す」機能や Android の「デバイスを探す」機能は、端末が測った位置を地図上に表示し、遠隔でのロックやデータ消去もできます。誤解しやすいのは、端末が位置を測れるかどうかと、その位置が手元の地図に届くかどうかが別の話だという点です。電源が切れていたり、機内モードのように通信を止めた状態では、端末自身は測位結果を送り出せません。ただし対応する iPhone などには、周囲の端末を介して電源オフ後もしばらく位置を検出できる仕組み (Apple の「探す」ネットワークなど) があります。紛失に気づいたら時間を置かずに確認するのが実務上の要点です。
GPS にはプライバシーの懸念もあります。位置情報の追跡はストーカー行為に悪用される可能性があり、アプリの位置情報アクセス権限は慎重に管理する必要があります。判断の目安としては、地図やナビのように位置が機能の中心にあるアプリ以外に「常に許可」を与えていないかを見直すことです。スマートフォン紛失時の対処や電話番号のプライバシー管理も参考にしてください。