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コードレス電話

こーどれすでんわ

コードレス電話は、親機 (ベースユニット) と子機 (ハンドセット) が無線で接続される固定電話です。子機を持ち歩けるため、家の中のどこにいても着信に応答でき、通話しながら移動できます。日本では 1980 年代後半から普及が始まり、2020 年代に家庭向けに売られている固定電話機は、子機が 1 台以上付いたコードレス方式が標準になっています。

初期のコードレス電話はアナログ方式で、通話品質が悪く、近隣のコードレス電話と混信したり、盗聴されたりするリスクがありました。市販の受信機で他家の会話を拾えてしまう時期があったのは、この世代の話です。その後デジタル方式へ移り、国内向けの製品は 1.9 GHz 帯を使うデジタルコードレス電話 (DECT 方式) が主流になりました。総務省の区分では免許を要しない無線局として扱われ、通話は暗号化されるため、傍受の難易度は格段に上がっています。1.9 GHz 帯は無線 LAN の 2.4 GHz 帯と重ならないので、2.4 GHz 帯を使っていた世代で起きがちだった Wi-Fi や電子レンジとの干渉も避けられます。電波の届く範囲は屋内で 50m 前後、屋外の見通しの良い場所で 300m 程度が目安ですが、鉄筋の壁を挟んだり階をまたいだりすると大きく縮みます。

コードレス電話の普及は、電話の使い方を大きく変えました。壁際の電話の前に座って話す必要がなくなり、リビング、寝室、キッチンなど好きな場所で通話できるようになりました。この「電話を持ち歩く」体験は、後の携帯電話の普及を心理的に受け入れやすくする土壌を作ったとも言えます。

機能面では、ナンバー・ディスプレイ対応、迷惑電話対策 (通話を録音することを相手に伝える警告、着信拒否リスト)、留守番電話、子機間通話 (インターホン) などが一般的です。ここで見落とされやすいのが、着信番号を画面に出すには電話機が対応しているだけでは足りず、電話会社との別契約 (月額の付加サービス) が要る点です。電話機を買い替えたのに番号が表示されないという相談は、たいていこの契約が理由です。

もうひとつ、災害時に効いてくる弱点があります。子機は親機の電源が前提なので、停電すると子機は一切使えません。停電時通話に対応した機種でも、使えるのは受話器コードでつながる親機側だけというのが一般的です。しかもこれは電話回線側から電力が届くアナログ加入電話での話で、光回線の IP 電話では回線側の機器にも電源が必要なため、停電時はそもそも通話できません。固定電話を停電時の連絡手段として当てにするなら、この 2 点を先に確認しておくことをおすすめします。あわせて、子機の充電池は数年で劣化します。「子機がすぐ電池切れになる」症状は本体の故障ではなく充電池の寿命であることが多いので、交換用の電池が手に入る機種を選ぶと長く使えます。電話機の進化の歴史で固定電話の変遷を振り返ることができます。

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