赤外線通信 (IrDA) は、赤外線の光を使って近距離 (数十 cm〜1m 程度) でデータを送受信する無線通信技術です。日本のガラケーには標準的に搭載されており、電話帳データの交換、写真の送信、名刺データの受け渡しなどに広く使われていました。
赤外線通信の使い方は、2 台の端末の赤外線ポート (通常は端末の上部) を向かい合わせにし、送信側と受信側でそれぞれ操作するだけです。「赤外線で連絡先を送るね」というやり取りは、2000 年代の日本では日常的な光景でした。合コンや飲み会で連絡先を交換する際の定番手段でもありました。
赤外線通信の技術的な特徴は、指向性が高い (端末同士を向かい合わせる必要がある) ことと、通信速度が比較的低い (最大 4Mbps 程度) ことです。Bluetooth と比べると、ペアリング不要で手軽に使える反面、障害物があると通信できない制約がありました。
スマートフォンの普及に伴い、赤外線通信は急速に姿を消しました。連絡先の交換は LINE の QR コードや「ふるふる」(加速度センサーを使った交換機能、2020 年終了) に置き換わり、データ転送は AirDrop や Bluetooth、クラウドサービスが主流になりました。現在販売されているスマートフォンで赤外線通信に対応している機種はほぼありません。電話機の進化の歴史で通信技術の変遷を振り返ることができます。