Wi-Fi 通話 (Wi-Fi Calling) とは、携帯電話の電波が弱い場所でも、Wi-Fi ネットワーク経由で音声通話を行える機能です。VoLTE の代替として、屋内や地下など電波の届きにくい場所で活用されます。技術的には、音声データを Wi-Fi 経由でキャリアの IMS (IP Multimedia Subsystem) に接続する仕組みで、3GPP の ePDG (evolved Packet Data Gateway) を経由してキャリアのコアネットワークに到達します。
Wi-Fi 通話の最大の利点は、通常の電話番号でそのまま発着信でき、相手側に特別な設定が不要な点です。LINE 通話などの VoIP アプリとは異なり、キャリアの電話番号を使うため、発信者番号通知も正常に機能します。通話料金は契約している事業者の音声通話の規定に沿って扱われるため、かけ放題プランの対象になるかどうかは自分の契約内容で確認します。Wi-Fi からモバイル回線への切り替え (ハンドオーバー) に対応する構成もあり、その場合は移動中に Wi-Fi 圏外へ出ても通話が途切れにくくなります。ただし切り替えの挙動は事業者と機種によって差があります。
Wi-Fi 通話が使えるかどうかは、契約している通信事業者と端末の両方が対応しているかで決まります。事業者が対応していない回線では、端末側に設定項目が出てこなかったり、オンにしても機能しなかったりします。Apple も、Wi-Fi 通話を有効にできない場合はまず契約先の通信事業者が対応しているか、端末のソフトウェアが最新かを確認するよう案内しています。サービスの呼び名や提供の有無は事業者ごとに違い、後から変わることもあるため、自分の回線については契約先の案内で確かめるのが確実です。
設定は端末側で Wi-Fi 通話をオンにするだけで完了します。iPhone では「設定」→「モバイル通信」→「Wi-Fi 通話」の順に進んでオンにします (複数の SIM を使っている場合は、先に Wi-Fi 通話に使う回線を選びます)。オンにするときに、緊急通報のために住所の入力または確認を求められることがあります。Android は「設定」→「ネットワークとインターネット」→「通話」のあたりですが、項目の場所や名前は機種と OS のバージョンによって異なります。注意点として、緊急通報 (110/119) は Wi-Fi 通話経由では位置情報の精度が低下する場合があるため、緊急時はモバイル回線での通報が推奨されます。VoIP の基礎知識で関連技術を確認できます。