ビデオ通話とは、音声に加えてカメラ映像をリアルタイムで送受信する通話方式です。スマートフォンのフロントカメラやパソコンの Web カメラとインターネット回線を使い、相手の顔を見ながら会話できます。Zoom、Google Meet、Microsoft Teams、FaceTime、LINE ビデオ通話などのサービスが広く利用されています。
ビデオ通話は、音声と映像をデジタルデータに変換して細かく分割し、IP 網で相手まで運ぶ仕組みの上に成り立っています。音声だけを IP 網で運ぶVoIP (Voice over IP) と土台は共通で、そこに映像を圧縮するコーデック (H.264 や VP9 など) と、遅延を抑えて映像と音声のずれを補正する仕組みが加わります。ブラウザやアプリだけで完結するサービスの多くは WebRTC という規格を使っています。1 対 1 の通話なら端末同士が直接データをやり取りできますが、3 人以上のグループ通話や大人数が集まる主要サービスでは、映像と音声をいったんサービス側の中継サーバーが受け取り、各参加者へ配り直す方式が一般的です。
通話品質は回線速度に左右されます。必要な速度はサービスと画質によって変わりますが、目安としては 1 対 1 のビデオ通話で下り 1.5Mbps 以上、グループ通話で 3Mbps 以上を見ておくと安定します。見落としやすいのは上り (アップロード) 側です。家庭向けの回線は上りが下りより細い契約も多く、自分の映像だけが乱れる、声が途切れると相手に言われる、といった症状は下りではなく上りの不足が原因のことがよくあります。Wi-Fi 環境での利用が安定しますが、4G/5G 回線でも十分な品質で通話できます。
2020 年のコロナ禍でビデオ通話の利用は爆発的に増加しました。テレワーク、オンライン診療、オンライン授業、遠方の家族との面会など、対面が困難な場面でビデオ通話が代替手段として定着しました。
ビデオ通話のセキュリティ面では、暗号化の有無が重要です。Zoom は 2020 年にエンドツーエンド暗号化 (E2EE) を導入し、FaceTime は当初から E2EE を採用しています。ただし E2EE は常に既定で有効とは限らず、設定で明示的に切り替える必要があるサービスもあります。有効にすると録画や電話回線からの参加といった一部機能が使えなくなる場合もあるため、業務で機密情報を扱う場合は、E2EE に対応しているかどうかと、有効化したときの制限の両方を確認してから選んでください。
使う側の落とし穴も押さえておくと安全です。映像には背景が丸ごと写るため、郵便物や窓の外の景色から住所が推測できてしまうことがあります。背景をぼかす機能を使うか、壁を背にするだけでも防げます。もうひとつは、電話やメールで連絡してきた相手からビデオ通話や画面共有へ誘導される手口です。画面共有をすると、口座の残高や届いたワンタイムパスワードまでそのまま相手に見えます。こちらから申し込んでいない連絡で画面共有を求められたら応じず、いったん通話を切って公式の窓口へかけ直してください。LINE 通話と電話の違いも参考になります。