ショルダーフォンは、1985 年に NTT が発売した肩掛け式の移動電話端末です。NTT の商品名は「ショルダーホン」で、初代の 100 型は重量 3kg ありました。1979 年 12 月に日本電信電話公社が始めた自動車電話を、自動車から離れた場所でも使えるようにした「車外兼用型自動車電話」で、本体をショルダーバッグのように肩にかけて持ち運ぶ姿から名付けられました。NTT 自身はこれを「あくまで自動車電話の発展形」と位置づけていますが、電話を体につけて持ち出すという発想を日本で初めて実用化した端末でした。
ショルダーホンの時代、移動電話は限られた人のものでした。NTT は、1991 年に小型軽量の携帯電話「mova」がヒットするまで、携帯電話には「富裕層のステータスシンボル」というイメージがあったと振り返っています。端末は契約者が買い取るものではなく貸与されるもので、携帯・自動車電話の「端末お買い上げ制度」が導入されたのは 1994 年 4 月のことです。利用料金も高額で、個人が気軽に契約できる水準ではありませんでした。
それまで電話は建物や自動車に固定された設備でしたが、ショルダーホンによって「電話を持ち歩く」という使い方が生まれました。発売から 2 年後の 1987 年、NTT は待望のハンドヘルド型端末「TZ-802 型」(重量約 900g) を発売し、「持って歩ける」携帯電話サービスが始まります。この年、携帯電話サービスの契約者数は初めて 10 万件を突破しました。1988 年には携帯専用型のショルダーホン 101 型 (重量 2.5kg) も登場しています。
1991 年には後の NTT ドコモとなる会社が設立され、端末の小型・軽量化が加速しました。1999 年のiモード開始で携帯電話はインターネットにつながり、ガラケーを経て 2007 年の iPhone 発売以降はスマートフォンが主役になります。3kg のショルダーホンから 2 年で約 900g へ、そこからさらに手のひらに収まる大きさへという流れは、1985 年から 40 年余りをかけて続いてきたものです。電話機の進化の歴史で携帯電話の変遷を詳しく解説しています。