着信メロディ (着メロ) とは、電話の着信時に鳴る音楽やメロディのことです。初期の携帯電話は単純な電子音しか鳴りませんでしたが、1996 年頃には利用者が着信音のメロディを自分で設定できる端末が登場しました。当初は 1 音ずつ鳴る単音でしたが、iモードのような携帯電話向けデータ通信サービスが普及すると、着メロのダウンロードは大きなビジネスに成長しました。
音質の進化は段階的でした。単音から 4 和音、16 和音、40 和音へと表現力が増し、2002 年には原曲の歌声をそのまま再生する「着うた」が au のサービスとして登場します。2004 年にはフルコーラスを配信する「着うたフル」が始まり、1 曲あたり数百円で販売されました。いずれも携帯電話向けの配信で、パソコン向けの音楽配信とは別の市場として広がった点が特徴です。
スマートフォンの普及とともに、着メロ・着うたのビジネスは縮小しました。定額制の音楽配信サービスが主流になり、着信音を 1 曲ずつ買い替える習慣自体が下火になったためです。2026 年時点のスマートフォンでは、端末にあらかじめ入っている着信音を使うか、手元の音楽ファイルを着信音に設定する方法が一般的です。
着信音の使い分けは、かかってきた番号の見分けにも役立ちます。家族や取引先を電話帳に登録して個別の着信音を割り当てておけば、鳴った瞬間に登録済みの相手かどうかを判断できます。ただしマナーモード中は着信音が鳴らないため、音だけに頼った見分け方は成り立ちません。着信音の無料配布をうたうサイトで会員登録や広い権限を求められたときは、電話番号や連絡先を渡す前に運営者の情報を確かめてください。
着信メロディの文化的意義は、携帯電話を「自分らしさを表現するツール」に変えた点にあります。着メロの選択は個性の表現であり、ポケベルの語呂合わせ文化から続く「モバイル端末を通じた自己表現」の系譜に位置づけられます。電話機の進化の歴史で携帯電話文化の変遷を振り返ることができます。