ワンセグは、地上デジタルテレビ放送の 1 チャンネル分の帯域を 13 のセグメントに分けたうち、1 セグメントを携帯端末向けの放送に割り当てたサービスです。2006 年 4 月に始まり、ガラケーやカーナビでテレビ番組をそのまま視聴できるようになりました。名称はこの 1 セグメントに由来し、残りのセグメントを使う家庭用テレビ向けの放送はフルセグと呼び分けます。
画質は QVGA (320×240 ピクセル) でフルセグより粗いものの、狭い帯域に誤り訂正を厚くかけているため、移動中でも受信が途切れにくいように設計されています。使うときにつまずきやすいのは受信環境です。機種によっては本体のアンテナを伸ばす、あるいはイヤホンやアンテナケーブルを挿してアンテナ代わりにする必要があり、何もつながずに起動しても映らないことがあります。建物の奥や地下では電波が届かず、屋外や窓際まで移動しないと安定しない場面も珍しくありません。
視聴そのものに通信料や視聴料はかかりませんが、放送を受信できる設備を持つことになるため、NHK の受信契約の問題が付いてまわります。テレビを置かずワンセグ付き携帯電話だけを持つ人にも契約義務があるかが争われ、2019 年に最高裁が上告を退けて、義務を認めた判断が確定しました。自宅にテレビがないという理由だけで契約の対象外になるとは言えない、という整理です。
ワンセグは日本のガラケー文化を象徴する機能の一つでした。通勤電車の中で小さな画面をのぞき込む光景は 2000 年代後半の日常でした。スマートフォンが普及し、動画を通信回線経由の配信サービスで見るのが当たり前になると、放送波を直接受ける機能の存在感は薄れ、2010 年代後半以降は搭載しない機種が増えていきます。2026 年時点では、新しく発売されるスマートフォンでワンセグやフルセグに対応する機種はごく限られます。
それでも防災の観点では利点が残ります。放送波は通信網の混雑に左右されにくく、電波が届けば映像・音声とデータ放送をそのまま受け取れます。一方で画面を点けたまま視聴するため電池の消費が大きく、停電が長引く場面では消費の小さいラジオのほうが長く粘れます。備えとしては、エリアメールなどの緊急速報で危険を知り、詳しい状況をワンセグやラジオで確かめ、家族の安否は災害時の電話のかけ方の手順で確認する、と役割を分けて考えるのが現実的です。電話機の進化の歴史ではガラケー時代の多機能化を振り返ることができます。