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モデム

もでむ

モデム (Modulator-Demodulator) は、デジタルデータをアナログ信号に変換 (変調) し、アナログ信号をデジタルデータに戻す (復調) 装置です。コンピュータのデジタルデータを電話回線 (アナログ) で伝送するために開発され、インターネットの黎明期に不可欠な機器でした。同じ変調・復調のしくみはFAX にも使われており、読み取った原稿のデータを音声の周波数帯の信号に変えて電話回線で送っています。

1990 年代のダイヤルアップ接続では、モデムが電話回線を通じてインターネットに接続しました。接続時に「ピーヒョロロロ」という独特の音が鳴るのは、モデム同士が通信の方式や速度を擦り合わせている (ハンドシェイク) 音です。規格上の上限は 56kbps で、2026 年時点で家庭向けに広く使われている光回線の 1Gbps と比べると約 18,000 分の 1 にあたります。しかも 56kbps は上限値であり、実際の接続速度は回線の状態によってこれを下回りました。

ダイヤルアップ接続中は電話回線を占有するため、インターネット使用中は電話が使えませんでした。家族が電話をかけようとすると「インターネット切って!」と言われる光景は、1990 年代の家庭の日常でした。この制約を解いたのがADSL で、音声が使う低い周波数帯とデータ用の高い周波数帯を分けることで、1 本の電話回線で通話とインターネットを同時に使えるようにしました。厳密にいえばISDN でも回線を 2 つのチャネルに分けて通話とデータ通信を並行させることはできましたが、既存のアナログ電話回線をそのまま使えて速度も大きく伸びた ADSL の普及が、常時接続を家庭に広げる転機になりました。その ADSL 自身もすでに役目を終えており、NTT 東日本は 2025 年 1 月、NTT 西日本は 2026 年 1 月にサービスを終了しています。

2026 年時点でもモデムという言葉は使われていますが、指す機器は変わりました。光回線の ONU (光回線終端装置) やケーブルテレビのケーブルモデムのように、回線の種類に応じた変換装置を広くモデムと呼ぶ言い方が残っています。ONU が担うのは光と電気の変換で、電話回線のモデムのような変調・復調とはしくみが違いますが、回線と機器の間で信号の形を合わせる箱という役割が似ているため、同じ呼び名が使い回されています。機器を指して「モデム」と言われたときは、自宅の回線が光なのかケーブルテレビなのかで実物が違う点に注意してください。電話機の進化の歴史でインターネット接続技術の変遷を振り返ることができます。

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