保留音とは、電話の保留中に相手に聞こえる音楽やメロディのことです。通話を一時的に中断して別の対応をする際、無音だと「切れたのではないか」と不安を与えるため、保留中であることを知らせる目的で音楽を流します。日本で最も有名な保留音は、NTT の「グリーンスリーブス」と松下電器 (現パナソニック) のビジネスホンに搭載された「エリーゼのために」です。
保留音の心理的効果は研究で実証されています。無音の保留は実際の待ち時間より長く感じさせ、30 秒で約 7 割の人が電話を切ってしまうというデータがあります。一方、音楽が流れていると体感時間が短縮され、保留への許容度が高まります。ただし、音楽の選択は重要です。テンポが速すぎる曲は焦燥感を、暗い曲調は不安感を増幅させます。一般的に、テンポ 60〜80 BPM のインストゥルメンタル曲が最も効果的とされています。
企業にとって保留音はブランド接点の一つです。コールセンターでは、保留中に「お待たせして申し訳ございません」のアナウンスを挟んだり、新商品の案内を流したりする手法が一般的です。近年はオリジナルの保留音を制作する企業も増えており、ブランドの世界観を音で表現する「サウンドブランディング」の一環として位置づけられています。
一方で、長時間の保留は顧客満足度を大きく下げます。コールセンターの業界標準では、保留時間は 1 回あたり 30 秒以内、合計でも 2 分以内が推奨されています。保留が長引く場合は、折り返し電話 (コールバック) を提案するのがベストプラクティスです。保留音の心理学とビジネス活用やコールセンターの品質向上で詳しく解説しています。