メインコンテンツへスキップ

衛星電話

えいせいでんわ

衛星電話とは、人工衛星を経由して通信を行う電話です。地上の基地局に依存しないため、山岳地帯、海上、砂漠、極地など携帯電話の圏外でも通話が可能です。災害時に地上の通信インフラが壊滅した場合でも、衛星電話は機能し続けるため、「最後の通信手段」として位置づけられています。

日本で利用できる衛星電話サービスのうち、代表的なものは次の 3 つです。イリジウムは 66 基の低軌道衛星 (LEO、高度約 780km) で地球上のほぼ全域をカバーし、極地でも通話可能です。スラーヤは静止衛星 (GEO、高度約 36,000km) を使い、アジア / 中東 / アフリカを中心にカバーします。インマルサットも静止衛星を使い、海事通信に強みを持ちます。LEO 衛星は地球に近いためレイテンシが約 20〜40ms と小さく、自然な会話が可能です。GEO 衛星は高度が高いためレイテンシが約 540ms と大きく、会話に独特の「間」が生じます。

衛星電話は、自治体や企業の BCP (事業継続計画) では、地上の回線が使えなくなったときの手段として扱われます。東日本大震災では地上の通信インフラが広範囲で壊滅し、衛星電話が唯一の通信手段となった地域がありました。この教訓から、自治体の防災拠点や病院、電力 / ガスといったライフライン事業者では、衛星電話が非常時の備えとして配備されています。端末価格 / 通話料とも一般の携帯電話より高額ですが、災害時の通信確保という観点では代替手段がありません。

2020 年代に入ると、衛星通信は専用端末だけのものではなくなりました。Apple は iPhone 14 以降で衛星経由の緊急 SOS 機能を提供しており、この機能に対応する国や地域では、携帯電話の圏外からでも救助を要請できます。日本では KDDI と沖縄セルラーが 2025 年 4 月 10 日に「au Starlink Direct」の提供を開始し、au のスマートフォンが SpaceX の Starlink 衛星と直接つながる形で、空が見える場所であれば圏外エリアでもテキストメッセージのやり取りができるようになりました。ただし、どちらも専用の衛星電話のようにいつでも通話ができるわけではなく、機種と場所の条件が付きます。緊急通報番号と合わせて、緊急時の電話番号ガイドで災害時の通信手段を確認しておきましょう。

この記事は役に立ちましたか?