詐欺対策

災害後に増える電話詐欺の手口と対策

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災害後に電話詐欺が増える理由

大規模な災害が発生すると、被災者の不安や善意につけ込む電話詐欺が急増します。混乱した状況下では冷静な判断が難しくなるため、詐欺グループにとって格好の標的となります。内閣府の調査によると、大規模災害後の 1 か月間で詐欺関連の相談件数は平常時の約 3 倍に増加するとされています。2024 年の能登半島地震後にも、義援金詐欺や修理業者を装った詐欺が多数報告されました。

災害後の電話詐欺が深刻な理由は、被災者が精神的に追い詰められた状態にあることです。住居の損壊、ライフラインの途絶、家族の安否確認など、多くの問題を同時に抱える中で、「支援」や「復旧」を名目にした電話に対して警戒心が低下します。また、災害時には行政からの連絡も増えるため、詐欺電話と正規の連絡を区別しにくくなるという構造的な問題もあります。

災害後に多い詐欺の手口

義援金・寄付金詐欺

実在しない団体や、実在する団体を騙って義援金を募る手口です。「被災地支援のために寄付をお願いします」と電話をかけ、振込先を指定します。正規の義援金窓口は公的機関の Web サイトで確認しましょう。犯人は災害発生直後の社会的な善意の高まりを悪用し、「今すぐ支援が必要です」と急かすのが特徴です。日本赤十字社や自治体の名前を騙るケースが多く、「税控除の対象になります」と付け加えて信憑性を高める手口も確認されています。

修理業者を装う詐欺

「屋根の修理が必要です」「水道管が破損しています」「このまま放置すると危険です」と不安を煽り、高額な修理費用を請求する手口です。実際には修理の必要がない場合や、工事を行わずに代金だけ受け取るケースがあります。「今日中に契約しないと工事ができなくなる」と即決を迫るのが典型的なパターンです。被災地では修理業者が不足するため、「今契約しないと数か月待ちになる」という脅しが効果的に機能してしまいます。

公的機関を装う詐欺

市区町村の職員や保険会社を装い、「災害見舞金の手続きが必要です」「保険金の申請を代行します」と個人情報や口座情報を聞き出す手口です。公的機関が電話で口座番号やマイナンバーを聞くことはありません。災害対策本部や被災者支援センターの名称を騙るケースもあり、被災者は行政からの連絡だと信じ込みやすい状況にあります。

保険金申請代行詐欺

「火災保険で修理費用が全額出ます」「申請を代行します」と持ちかけ、高額な手数料を請求する手口です。実際には保険の対象外であったり、虚偽の申請を行って保険金詐欺に加担させられるケースもあります。保険金の申請は保険会社に直接連絡して行いましょう。手数料として保険金の 30〜50% を要求するケースが報告されており、正規の保険代理店ではこのような高額手数料は発生しません。

仮設住宅・住宅再建詐欺

「仮設住宅の入居手続きを代行します」「住宅再建の補助金申請をお手伝いします」と持ちかけ、手数料名目で金銭を要求する手口です。仮設住宅の入居手続きは自治体が無料で行っており、代行業者を通す必要はありません。また、「優先的に入居できるよう手配する」と持ちかけるケースもありますが、入居の優先順位は自治体が公正に決定するものであり、第三者が介入することはできません。

ボランティアを装う詐欺

「ボランティアで片付けを手伝います」と訪問し、作業後に高額な料金を請求する手口です。正規のボランティアは社会福祉協議会を通じて派遣され、料金を請求することはありません。「ボランティアですが、交通費と食事代だけいただきます」と少額の請求から始め、追加作業の名目で金額を吊り上げるパターンも報告されています。

過去の災害時の詐欺被害事例

過去の大規模災害では、以下のような詐欺被害が報告されています。災害の規模が大きいほど詐欺の件数も増加する傾向にあり、被災地だけでなく全国的に被害が発生します。

  • 東日本大震災 (2011 年) — 義援金詐欺の相談件数が約 1,500 件に達し、被害総額は数億円規模。海外からの詐欺メールも大量に発信された
  • 熊本地震 (2016 年) — 修理業者を装った詐欺が多発し、1 件あたり数十万円の被害。ブルーシート張りの名目で高額請求するケースが目立った
  • 令和元年台風 19 号 (2019 年) — 保険金申請代行詐欺が急増し、高額な手数料を請求される被害。「火災保険で屋根の修理費用が全額出る」と虚偽の説明をするケースが多発
  • 能登半島地震 (2024 年) — SNS を併用した義援金詐欺や、行政職員を装った個人情報詐取が報告。偽のクラウドファンディングページも確認された

災害後の詐欺被害統計

  • 災害後 1 か月間の相談件数: 平常時の約 3 倍に増加
  • 最多の手口: 義援金詐欺 (全体の約 4 割)、修理業者詐欺 (約 3 割)
  • 被害者の年齢層: 60 歳以上が約 6 割、被災地在住者が約 7 割
  • 1 件あたりの平均被害額: 義援金詐欺は約 5 万円、修理業者詐欺は約 50 万円

被災時に身を守るための対策

  • 知らない番号からの電話に注意する — 災害直後は特に不審な電話が増加します。留守番電話を活用し、内容を確認してから折り返しましょう。行政からの重要な連絡は、留守番電話にメッセージが残されるか、文書で届きます。
  • 義援金は公式窓口から送る — 自治体や日本赤十字社の公式サイトを確認し、正規の窓口から寄付してください。電話で振込先を指定された場合は詐欺を疑いましょう。正規の義援金窓口は、自治体の公式 Web サイトや広報誌で案内されます。
  • 修理の依頼は複数業者に見積もりを取る — 即決を迫る業者は要注意です。地元の信頼できる業者や、自治体が紹介する業者を利用しましょう。災害後は自治体が「住宅修理に関する相談窓口」を設置することが多いため、まずはそちらに相談してください。
  • 個人情報を電話で伝えない — 公的機関が電話で口座番号やマイナンバーを聞くことはありません。不審に感じたら電話を切り、公式の連絡先に確認してください。
  • 契約書の内容を確認する — 修理や工事の契約は書面で行い、クーリングオフ制度が適用される場合があることを覚えておきましょう。訪問販売や電話勧誘による契約は、契約書面を受け取った日から 8 日間はクーリングオフが可能です。
  • 保険金の申請は保険会社に直接連絡する — 保険金の申請代行を持ちかける業者には注意してください。保険会社の連絡先は保険証券に記載されています。代行手数料として保険金の数十%を請求する業者は悪質です。
  • SNS の情報を鵜呑みにしない — 災害時は SNS 上にも偽の支援情報や義援金募集が拡散されます。公式アカウントからの情報かどうかを確認し、不審なリンクはクリックしないでください。

相談窓口

災害に便乗した詐欺の被害に遭った場合や不審な電話を受けた場合は、以下の窓口に相談してください。被災地では臨時の相談窓口が設置されることもあります。相談は無料で、専門の相談員が対応します。

  • 警察相談専用電話: #9110
  • 消費者ホットライン: 188
  • 法テラス (日本司法支援センター): 0570-078374 (被災者向けの無料法律相談も実施)
  • 住まいるダイヤル (住宅リフォーム・紛争処理支援センター): 0570-016-100
  • 各自治体の災害対策本部 — 被災地の自治体が設置する相談窓口で、詐欺被害を含む各種相談に対応
  • 国民生活センター 災害関連情報 — 災害に便乗した消費者トラブルの最新情報を公開しています

よくある質問

災害後にどのような電話詐欺が増えますか?

義援金・寄付金詐欺、修理業者を装った詐欺、公的機関を装った個人情報詐取、保険金申請代行詐欺が代表的です。災害発生後 1 か月間は特に注意が必要で、相談件数は平常時の約 3 倍に増加します。

災害後の義援金詐欺を見分ける方法はありますか?

電話で義援金を募る場合は詐欺の可能性が高いです。正規の義援金は自治体や日本赤十字社の公式サイトから送りましょう。団体名を名乗られても、公式サイトで実在を確認してから寄付してください。

災害後に修理業者から電話があった場合、どう対応すべきですか?

即決を迫る業者は要注意です。複数の業者から見積もりを取り、自治体が紹介する業者や地元の信頼できる業者を利用しましょう。訪問販売や電話勧誘による契約はクーリングオフの対象となる場合があります。

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