名簿屋とは、個人の氏名 / 住所 / 電話番号 / 年齢 / 職業などの情報を収集し、リスト (名簿) として販売する業者です。合法的な名簿業者はダイレクトメールやマーケティング目的で企業にリストを提供しますが、違法な名簿屋はダークウェブや闇ルートで入手した流出データを特殊詐欺グループに販売しています。
名簿の入手経路は多岐にわたります。企業の情報漏洩事故で流出したデータベース、廃棄された書類やハードディスクからの復元、アンケートや懸賞応募で収集した情報、同窓会名簿や会員名簿の転売、SNS のプロフィールからのスクレイピングなどです。特に高齢者の名簿は「高額リスト」として高値で取引されます。
2015 年の個人情報保護法改正 (2017 年 5 月全面施行) で、名簿屋に対する規制が強化されました。本人の同意を取らずオプトアウト方式で個人データを第三者へ提供するには個人情報保護委員会への届出が必要になり、届け出た事業者は委員会のサイトで公表されます。あわせて、提供する側の記録義務と受け取る側の確認義務も課されました。2020 年の改正 (2022 年 4 月施行) では、違法または不当な行為を助長するおそれのある使い方が不適正利用として明確に禁じられ、不正に取得されたデータはオプトアウトで提供できる対象から外されました。それでも違法な名簿屋は届出をせずに活動するため規制の網にかかりにくく、流出元の事件が発覚したときにようやく実態の一部が見えるという構造的な問題が残っています。
自分の情報が名簿に載るリスクを減らすには、不要なサービスへの個人情報登録を避ける、懸賞やアンケートに安易に応募しない、SNS に電話番号を公開しない、不審な電話には個人情報を一切伝えないことが重要です。あわせて押さえておきたいのは、一度出回った名簿は回収できないという点です。オプトアウトの届出をした事業者には提供の停止を求められますが、すでに転売されたコピーまでは追えません。詐欺被害者の名簿は使い回されるため、被害に遭った後に「お金を取り戻せる」と持ちかけてくる電話には特に警戒が必要です。知らない人が電話番号を知っている理由で流出経路を詳しく解説しています。