詐欺対策

税金還付を装う詐欺電話の対策

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税金還付詐欺とは

税金還付を装う詐欺電話は、税務署や市区町村役場の職員を名乗り、「医療費控除の還付金がある」「住民税の過払い分を返金する」といった口実で金銭を騙し取る手口です。国税庁の発表によると、還付金詐欺は特殊詐欺の中でも被害件数が多く、年間数千件の被害が報告されています。被害者の多くは 60 歳以上の高齢者であり、ATM 操作に不慣れな点を巧みに利用されています。

この手口が厄介なのは、実際に税金の還付制度が存在するため、一見すると正当な連絡に見える点です。確定申告後の還付金や、住民税の過誤納付による返金は実在する手続きですが、その案内が電話で行われ、ATM 操作を指示されることは絶対にありません。

警察庁の統計によると、還付金詐欺の被害額は 1 件あたり平均約 100 万円に達しています。被害者の約 70% が 65 歳以上の高齢者であり、特に一人暮らしの高齢者が狙われやすい傾向があります。詐欺グループは行政機関の名称や手続きの用語を正確に使用するため、電話を受けた時点で詐欺と見抜くことが困難です。

税金還付詐欺の典型的な手口

詐欺の手口は年々巧妙化していますが、基本的な流れには共通するパターンがあります。手口を知ることが被害防止の第一歩です。

ステップ 1: 公的機関を装った電話

「○○税務署の△△です」「市役所の税務課です」と名乗り、還付金があることを伝えます。具体的な金額 (数万円程度) を提示し、信憑性を高めるのが特徴です。「手続きの期限が本日まで」と急かし、冷静な判断を妨げます。近年は「マイナンバーカードの紐付けに伴う還付金がある」「ふるさと納税の控除額に誤りがあった」など、時事的な話題を織り交ぜるケースも増加しています。

ステップ 2: ATM への誘導

「還付金を受け取るには ATM での手続きが必要です」と説明し、最寄りの ATM に向かうよう指示します。コンビニや銀行の ATM に到着したら電話をするよう求め、通話を維持したまま操作を誘導します。スーパーマーケットや商業施設内の ATM を指定するケースもあり、周囲の目が届きにくい場所を選ぶ傾向があります。

ステップ 3: 送金操作の誘導

ATM の前で「振込」ボタンを押すよう指示し、犯人の口座番号を入力させます。「還付金の受取コード」と称して金額を入力させますが、実際にはその金額が犯人の口座に送金されます。被害者は還付金を受け取ったと思い込み、送金したことに気づかないケースも少なくありません。

ステップ 4: 追加送金の要求

一度目の送金に成功すると、「手続きにエラーが発生した」「追加の還付金がある」と称して、再度 ATM 操作を求めるケースがあります。被害者は既に一度「手続き」を経験しているため、疑いを持ちにくく、複数回にわたって送金してしまう事例が報告されています。

詐欺を見抜くための重要な事実

税金還付詐欺を見抜くために、以下の事実を必ず覚えておきましょう。これらは例外なく適用される原則です。

  • 税務署は電話で還付手続きを案内しない — 還付金は確定申告に基づいて自動的に処理され、指定口座に振り込まれる
  • ATM で還付金を受け取る手続きは存在しない — ATM は送金専用の機能であり、還付金の受取操作は技術的に不可能
  • 公的機関が暗証番号を聞くことはない — 口座番号や暗証番号を電話で求めること自体が不正行為
  • 還付金に期限切れはない — 「本日中に手続きしないと無効になる」という説明は虚偽
  • 携帯電話を使いながらの ATM 操作を求めることはない — 正規の行政手続きで電話をしながら ATM を操作させることは絶対にない

確定申告シーズンに急増する被害

税金還付詐欺は 2 月から 3 月の確定申告シーズンに特に増加します。この時期は実際に還付金の話題が身近になるため、詐欺の信憑性が高まります。また、年末調整の時期 (11 月〜12 月) や、住民税の通知が届く 6 月前後にも被害が増える傾向があります。

詐欺グループはこうした行政手続きのスケジュールを熟知しており、タイミングを合わせて大量の電話を発信します。「ちょうど確定申告をしたばかりだから」と油断してしまう心理を巧みに利用しているのです。

さらに、新型コロナウイルス関連の給付金や、物価高騰対策の支援金など、時事的な制度を騙る手口も確認されています。行政の新しい施策が発表されるたびに、それを悪用した詐欺が発生する点にも注意が必要です。

被害防止の具体的な対策

税金還付詐欺から身を守るために、以下の対策を日頃から実践しましょう。

  • 電話を切って直接確認する — 不審な電話を受けたら、一度切って最寄りの税務署や市区町村の窓口に自分から電話する
  • 家族間で情報を共有する — 特に高齢の家族に対して、還付金詐欺の手口を繰り返し伝える
  • 留守番電話を活用する — 知らない番号からの電話は留守番電話で対応し、内容を確認してから折り返す
  • 電話番号を検索する — 出んわなどの電話番号検索サービスで発信元を確認する
  • ATM の利用限度額を設定する — 高齢者の口座は 1 日の振込限度額を低く設定しておく
  • 迷惑電話フィルターを導入する — キャリアや専用アプリのフィルター機能で既知の詐欺番号を自動ブロックする

金融機関や自治体の取り組み

還付金詐欺の被害防止に向けて、金融機関や自治体もさまざまな対策を講じています。多くの銀行では、ATM コーナーに「携帯電話での通話禁止」の掲示を行い、通話しながら操作している高齢者には声かけを実施しています。一部の金融機関では、70 歳以上の顧客に対して ATM での振込限度額を自動的に引き下げる措置を導入しています。

自治体レベルでは、防災無線や広報誌を通じた注意喚起、高齢者世帯への戸別訪問による啓発活動が行われています。地域の見守りネットワークと連携し、不審な電話の情報を迅速に共有する仕組みも整備されつつあります。

被害に遭った場合の対応

万が一、ATM で送金してしまった場合は、直ちに振込先の金融機関に連絡し、口座の凍結を依頼してください。振り込め詐欺救済法に基づき、犯人の口座に残高があれば被害金の返還を受けられる可能性があります。同時に警察 (110 番または #9110) と消費者ホットライン (188) にも通報しましょう。

振込の控えや通話履歴など、証拠となる資料はすべて保全しておくことが重要です。被害届の提出は最寄りの警察署で行います。事前に電話で必要書類を確認しておくと手続きがスムーズです。被害回復には時間がかかりますが、口座凍結が早いほど回収の可能性が高まるため、気づいた時点で直ちに行動することが最も重要です。

税金還付詐欺の被害統計

警察庁および国民生活センターの統計から、還付金詐欺の被害実態を整理します。

  • 年間被害件数: 約 4,000 件 (特殊詐欺全体の約 2 割)
  • 年間被害総額: 約 40 億円
  • 1 件あたりの平均被害額: 約 100 万円
  • 被害者の年齢構成: 65 歳以上が約 70%、75 歳以上が約 40%
  • 被害者の性別: 女性が約 65% (ATM 操作に不慣れな層が狙われやすい)
  • 被害が多い時期: 2〜3 月 (確定申告シーズン)、6 月 (住民税通知時期)、11〜12 月 (年末調整時期)

関連する法律と制度

税金還付詐欺に関連する法律と、被害者を保護する制度について解説します。

刑法上の罪

税金還付詐欺は刑法第 246 条の詐欺罪に該当し、10 年以下の懲役が科されます。組織的に行われた場合は組織的犯罪処罰法が適用され、さらに重い刑罰の対象となります。ATM を利用した送金操作を誘導する行為は、電子計算機使用詐欺罪 (刑法第 246 条の 2) にも該当する可能性があります。

振り込め詐欺救済法

犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律 (振り込め詐欺救済法) に基づき、凍結された犯人の口座から被害者に分配金が支払われる制度があります。被害届を提出し、金融機関に申請することで、口座残高に応じた被害金の返還を受けられる可能性があります。

相談窓口一覧

  • 警察相談専用電話: #9110
  • 消費者ホットライン: 188 (いやや)
  • 国税庁 (税務署) の代表番号: 各地域の税務署に直接確認
  • 法テラス: 0570-078374
  • 各金融機関の振り込め詐欺相談窓口

よくある質問

税務署から電話で還付金の案内が来ることはありますか?

税務署が電話で還付手続きを案内することはありません。還付金は確定申告に基づいて自動的に処理され、申告時に指定した口座に振り込まれます。電話で還付金の話が出た場合は詐欺を疑ってください。

ATM で還付金を受け取ることはできますか?

ATM で還付金を受け取る手続きは存在しません。ATM の振込機能は送金専用であり、還付金の受取操作は技術的に不可能です。ATM 操作を指示された場合は 100% 詐欺です。

税金還付詐欺に遭った場合、お金は戻ってきますか?

振込先の金融機関に速やかに連絡し口座凍結を依頼すれば、振り込め詐欺救済法に基づいて残高から被害金の返還を受けられる可能性があります。時間が経つほど回収が困難になるため、気づいた時点で直ちに行動することが重要です。

還付金詐欺が増える時期はいつですか?

確定申告シーズンの 2 月〜3 月に最も増加します。また、年末調整の時期 (11 月〜12 月) や住民税の通知が届く 6 月前後にも被害が増える傾向があります。

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